鋼錬、あんスタ、ぬら孫のBL二次創作サイトです
道端の箱には気をつけている。
特に、他のゴミと離れたところにポツンと置いてあったら要注意。
それもダンボールだったらもう緊急事態発生。
すみやかに右向け右。
弟の眼につく前に急いで方向転換。別の道を探す。
日常生活に支障が出るほど箱に眼がないってわけじゃない。
弟が眼がないのは箱に入ってるものだ。(そりゃあもう支障でまくりな程に!)
そんなわけで今日もアヤシゲな箱を目撃した俺は、さりげなく次の角で曲がろうとしていた。
「あぁ!兄さん、あそこみて!」
…まぁ大概みつかるんだけどさ。
「みない。」
きっと弟は俺に内緒で鎧の中ににゃんこセンサーでもしこんでるに違いない。
どこだ?肩のとげとげか?頭の角か?
今度徹底的に探して見つけてやる。
「兄さんってば、ちょっと見て、ねぇ」
「みません。」
「あ、なんでそっち曲がるのさ。あっちでしょ?」
「こっちからでもいけるだろうが。」
「だってあそこにおいてある箱、ちょっと変じゃない?」
「別に。何の変哲も無いアルカリ液で溶かされて樹脂で固められた植物性の繊維で出来た箱に見える。」
「あんなとこに置いてあるのっておかしいよ。」
「おかしくはない。」
「兄さん、」
「だぁーもう!誰がドコにダンボールを置こうがネコを捨てようが自由だろうが!!」
あ。
しまった。
「に…兄さんの人でなし―――ッ!!!」
ごがしゃーん
がしゃんがしゃんがしゃん…
衝撃音の後に、走り去る鎧の足音。
…イチイチ許可は窺ってくるくせに却下されると俺を殴り飛ばして走り去る弟。
まったくもって矛盾してる。
俺は壁際にひっくり返ったまま今度はいつ弟が帰ってくるのか考えた。
遠慮なく殴り飛ばすくせに結局しょぼしょぼと戻ってくるんだ、あいつは。
本当に
まったくもって矛盾している。
19.箱
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