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お部屋の中はあたたかくて、とても居心地がいい。

最近外は寒すぎて、いくら毛に守られてる私でも過ごしにくい。

 

それに肉球がつめたいのはキライ。

 

アルのひざの上でうとうとしていたら、ドタドタという音に起こされた。

 

エドは本を広げているときはあんなに静かなのに、どうして普段はこんなにうるさいの?

 

パタパタと耳を動かしていると、アルがなだめるように耳をなでてくれた。

「アル!」

エドがひょいっと部屋の入口で顔をのぞかせた。

「はい?」

「買い物いくけど、なんかいるもんとかあるか?」

そういうエドはコートを着込んで、すっかり外へ行く準備を済ませてる。

 

アルの答えは知っている。

今朝ミルクがもう無いと云っていたのを聞いたもの。

 

でもそれをエドには云わないのも知ってる。

なぜなら…

「あ、待って、僕も行く。」

 

「はぁ?」

 

「すぐ支度するからっ。」

 

「何いってんだよ…寒いんだからお前は家にいろよ。」

 

「兄さんと一緒に買い物行きたいんだよ。…だめ?」

 

「ばかか……っ。」

あーぁ…なんでこんなに寒いのに嬉しそうに出かけるんだろう…。

 

いつもアルはエドが出かけるとニコニコとついていく。

 

あっという間に行ってしまった温もりを惜しみながら、私はきっとアルは寒いのが好きなんだと思いながら、ソファーの上で丸くなった。

黒猫の冬景色

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