鋼錬、あんスタ、ぬら孫のBL二次創作サイトです
久しぶりに早くに眼を覚ました俺は機嫌良く下へ降りて行った。
一階はまだシンとしていて人の気配がない。
徹夜明けとかでなく、アルより先に起きたことにますます気分を良くしながら台所へ向かう。
冷蔵庫を覗きこんでいると右脚に柔らかい物がまきついてきた。
「お前も何か飲むか?」
問い掛けに短く鳴いて答えるとリリィはざりざりと俺の足の甲を舐めて俺を飛び上がらせた。
「ぎゃあ!わかったわかった!何かやるからやめろっ!」
リリィにミルクをやっていると、アルが階段を降りてくる音がした。
「おはよ。朝飯パンでいいよな?」
俺の言葉に頷いて、おはようと呟く姿は元気がない。
…なんだ?
考えながらミルクを飲むリリィの頭を掻いていると、後ろで「ああぁ…」と重たい声。
「アル?」
「夢を、」
「は?」
「夢をみたんだ。」
両手で顔を覆ったアルをみてようやく合点がいった。
そうか、怖い夢をみたんだな?
それで元気がないんだな?
よしよし。兄ちゃんが聞いてやろう。
すくっと立ってアルの正面に立つ。
「どうした?どんな夢だ?」
頭を撫でてやると、ゆっくりと両腕が身体に回された。
怖い夢を引きずるなんて、まだまだガキだなぁ…
「あのね。」
「おう。」
「すっごくリアルでね。」
「うん。」
「たまらなくなって…」
「だから、どんな夢なんだ?」
「兄さんとリリィがくっついて兄さんに猫耳が生えちゃう夢。」
…おい。
無言で拳を弟の頭に振り下ろす。
ゴツン、といい音がした。
残念ながら中身は詰まっているようだ。
そうか。詰まっててあの発言か。
「いったあ!」
「痛くしてんだよボケ!」
「だってすっごくすっごく可愛かったんだよ!!」
「起きろ!!」
気が遠くなった俺をよそにアルは「本当に可愛かったのに」と、また深い溜め息をついている。
数日後、家に荷物が届いた。
バリッとあけた段ボールの中にはぎっちりと大小の本が詰まっている。
最初の数冊、背表紙をなぞったところで次の箱をべりべりとあける。
泣きたくなった。
「あっ!届いたんだねっ。」
床に座り込むと、アルフォンスは嬉々として箱から「医術と錬金術」や「生体錬金術」や「動物と錬金術の可能性」をひっぱりだしていく。
「アル…」
お前は俺をキメラにしたいのか?
兄さん僕頑張るからねっと意気込んだ弟を箱に詰めて本と一緒に送り返してやりたい。
I have a dream!