どっちのハガレンもOPもEDいろいろ言いたいことがあるけど、旧ハガレンの1つめのオープニングで最後になんともいえないはにかみ方するこの人なんなん…誰と目ぇあったん…2018年にこんなこと呟くはめになるとはホント思わなかったよ兄さん…
もう一枚。
どこにあげようか迷ってとりあえずブログに。関連小話。
("ダウントンアビー"というイギリスの伝統を守る大きな屋敷で暮らす人々のドラマのパロディ…)
(兄さんだけシャンバラ義手義肢)
SL機関車が黒っぽい煙を吐き出しながら走る時代。
室内にようやく電気が導入され始めるか否かという頃。
町外れの大きな屋敷のなかではいつもの朝の支度で賑わっていた。
暖炉の掃除に回るもの、食器やシーツを運ぶものが廊下を行き交う。
重いカーテンがひらかれ、夜の間にあちらこちらにおかれたグラスが回収される。
執事長は頭を悩ませていた。
執事長、メイド長、メイド、下僕で構成されたチームには本来若き旦那様の世話をする従者がいるはずだった。
彼が病で暇をもらったのはつい先日。
広告をだしてもなかなかすぐには人はこないと思っていたのに。
新たな従者として書類を出した、とのたまう目の前の青年はずいぶん若く、おまけに杖をついていた。
「この屋敷はご覧のとおり階段がたくさんあるのだが」
「問題ない、です」
「荷物を運んだりすることもあるが」
「そのときはこなせるでしょう」
「腕がもう一本生えてくるのかね?」
「いつも杖が必要というわけではないので」
普段なら、旦那様にお目通しをするところだが、なかなかその気になれない。
エドワードと名乗る青年は自分の立場を理解しているのか、していないのか、物珍しそうに周囲で忙しく動き回っている従業員を目で追っている。
そうこうしているうちに、朝の準備が整い、主たちが起きる前にとそれぞれ食事をとり始める。
「執事長、彼が新しい従者?」
「従者にしては若いわね?いくつ?いままでなにしてたの?」
「杖をついているじゃないか」
「ホントだ、大丈夫なの?」
「仕事ができるのかい、それで」
働きまわっていたスタッフが一斉に従業員用のホールに集まり各々席に着きながら遠慮なくエドワードに質問を投げつけていく。
当の本人はたいして気にすることもなく「そう」「内緒」「ちょっとわけありでね」「仕事はやるさ」と軽く返している。
メイドたちが顔をよせて「格好いいね」「キレイな顔ね」と色めき立っている。
頭が痛くなり始めて、執事長は目頭を軽く押さえた。
まだ会話を続けているエドワードを改めてじっくりとみる。
コートを脱いでいないので、中の服はよくはうかがえないが、身なりはきちんとしているように見える。
金髪の長い髪は高めの位置に一つにくくられている。
アイリッシュの血を引いているのかと思えるような白い肌に金色の眼。
おや、珍しい、そういえば当主も、とひっかかりかけたところで、一階に続く階段からドタドタと足音が聞こえた。
まさかと顔をあげると、若旦那であるアルフォンスが階段を駆け下りてきた。
スタッフ全員ナイフとフォークを投げ出して立ち上がるので椅子が床を擦る音が一斉に聞こえた
何事だと驚いているエドワードの姿を認めたアルフォンスはショックを受けているようだった。
「うわ本当にいた!あっ、みんなごめん、」
「若旦那様おはようございます。申し訳ありません、まだお食事をとられるとは思っておりませんで」
普段は起きてから着替えを手伝ってもらうために従者がよばれるのだが、今日は自分で着替えてしまったらしい。櫛を通していない金色の短髪はまだ寝癖がついている。とりあえず、といった軽装の若旦那に執事長は眉をひそめる。
「ごめんね、こんな格好で、ずいぶん早くに目が覚めたから先に用事を済ませようとして、って、兄さん!ひどいじゃないかこんないたずら!」
アルフォンスは早口に執事長に断りをいれると、従業員数十名が見ている前でエドワードに抱きついた。
メイドのアンナは執事長がとんでもない表情で硬直するのを目撃してしまう。
エドワードはというと、アルフォンスが表れてからひどく嬉しそうな顔をして立っていた。
突然の抱擁も当たり前のように受け止めている。
「うわー…あー本当に兄さんなんだね。帰ってきたんだね」
「やっと来たか、アルフォンス。ただいま。」
「ひどいよ、こんなことして…嘘だと思った」
「昨日のうちに届くように手紙、だしたろ?」
「たまたま昨日具合が悪くて、夜の分の手紙は朝見ようと思ってたんだよ…まさか兄さんからの手紙が入っているとは思わなくて…あぁよかった、気が付いて」
とにかく、とアルフォンスは体を兄から引き離すと彼の肩に手をおいたまま続けた。
「僕ちゃんと着替えてくる。みんなに挨拶がすんだら、ホールに来て。一緒に朝食を摂ろう。」
みんな、邪魔してごめんね。あと兄さんがごめんね、あとでちゃんと説明するね、
と早口に言いながらアルフォンスは上に駆け戻っていった。
執事長を含め、屋敷の従業員たちはここ一年で一番大きく口と目を開けて「兄さん」と呼ばれた青年を見ていた。
若旦那の「兄さん」
それはつまり、
自分たちにとって、
「……まさか…」
だれかが零した言葉に反応して、エドワードが目線を周囲に戻す。
あんぐり、ぱちくり、そんな表現がぴったりな面々をぐるりと見渡してから、
「……聞かれなかったし?」 と、青年はいたずらっぽく肩を竦めた
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